
もくじ
AGAは頭髪が軟毛化し抜ける疾患です。
AGAとは抜け毛の症状の1つで、日本語で男性型脱毛症と呼ばれることもあります。皮膚疾患など、特定の病因がないにも関わらず毛髪が抜け落ち、加齢とともに徐々に進行していく現象のことをいいます。
思春期以降の男性であればいつでも誰にでも発症の可能性がありますが、年齢に比例して発症率は高くなる傾向にあり、中年期以降は特にその傾向が顕著です。
症状の進み方は人によってそれぞれ違いますが、典型的なパターンとしてはまず毛髪の軟化から始まります。髪にコシやハリがなくなり、髪型がうまく決まらなくなったりします。
次に、抜け毛が増加します。しかも毛がまだ十分に成長しきらないうちに抜けてしまい、後には細くて短い毛ばかりが目立つようになります。
そして毛の抜ける範囲が徐々に広がっていき、最終的に毛髪が抜けるとともに薄毛が強く実感されるようになっていきます。
AGAの発生要因には諸説があり、原因は完全には解明されていませんが、発生のメカニズム自体はほぼ突き止められています。
体内で発生するジヒドロテストステロンという物質が毛根に作用し、毛が成長する前に「抜けろ」というシグナルを発してしまうのです。
しかし、たとえばなぜ中年になっても発症しない人もいれば若いうちから発症する人もいるのかといった点には、まだよく分かっていません。
ただ、遺伝的要素が大きく関係しているということは判明しており、医療機関でAGAの治療を行う際も、遺伝子を検査することで発症リスクのチェックを行っています。
AGAにはM字型、O字型、A字型などの種類に分けられます。
AGAの症状にはいくつかの種類がありますが、典型的なパターンとなっているのはM字型、O字型並びにA字型の3つです。
引用元: http://www.aga-news.jp/secure/about_aga/
このうちM字型では、最初の症状は前額部にあらわれます。いわゆる額の両サイドに当たる部分の抜け毛が増え、生え際がアルファベットのMの字のように2つの頂点を持った状態で徐々にせり上がります。
症状が進むにつれて生え際の角度がだんだん急になっていきますが、人によってはその中間部分、つまり額の真ん中に当たる生え際も後退していきます。
次のO字型は、頭頂部から進行していきます。頭のてっぺん部分にある毛が抜け始め、薄毛状態となります。そして同心円状に広がるようにして、薄毛部分の面積が徐々に拡大していきます。
最後のA字型は、M字型とO字型が同時に、あるいは相次いで発症するパターンです。額の生え際が両サイドから後退していくと同時に、頭頂部の薄毛部分が拡大します。
そして両方が合わさることで、その中間部にアルファベットのAの字の三角形部分のような「離れ小島」が作られます。やがてその部分の毛も抜けてしまうと、完全な禿頭状態へと至ります。
なぜ前額部及び頭頂部に抜け毛・薄毛が集中するかというと、この2つの場所がジヒドロテストステロンが生成されやすい場所だからです。
側頭部や襟足など、ジヒドロテストステロンの濃度があまり高くない部分では、年齢が進行しても抜け毛・薄毛が目立つことはそれほどありません。
AGAの原因物質「ジヒドロテストステロン」は5αリダクターゼという酵素が生成します。
AGAの原因物質であるジヒドロテストステロンはそもそもどうやって体内に発生するかというと、これはテストステロンと呼ばれる男性ホルモンの一種が原料となっています。
ストステロンは主に睾丸や副腎で作られる男性ホルモンで、骨格を発達させたり、筋肉の量を増大させたりする働きを持っていますが、このテストステロンが5αリダクターゼという体内酵素の働きによって性質を変えられると、ジヒドロテストステロンになります。
引用元: https://port-medical.jp/media/images/428
この物質は思春期において「声変わり」を促したり、ひげや体毛を濃くするなど、いわゆる「男性らしさ」を形作るのに必要な役目を担っているのですが、毛髪に対しては逆に抜け毛を増やす作用を持っています。
具体的には、毛根部分にある男性ホルモンレセプターと結びつき、脱毛を促すようなシグナルを送ります。その結果、新しく生えてきた毛がまだ十分に成長しないうちに抜けてしまい、抜けた後が薄毛状態になってしまうのです。
ジヒドロテストステロンは先に述べた通り前額部と頭頂部に発生しやすく、さらに加齢に伴ってその発生量が増加することが分かっています。年齢が進むとともにAGAの発症リスクが高くなるのは、ここに原因があります。
AGAは進行性の疾患です。早めに治療を始めましょう。
AGAは進行性の疾患であり、その進行の度合いに個人差はあるものの、いったん発症すると止まることはありません。つまり、自然治癒しないのです。
放置しておくと、いずれは完全な禿頭になってしまうおそれがあります。ただ、適切な治療を行うことで進行を遅らせたり、症状を改善したりすることも可能です。
自覚症状がある時は、できるだけ早期の治療を心がけることが推奨されます。
AGA対策と言えば、以前は市販の育毛剤などを使用した一種の民間療法が中心でした。
こうした手法は毛根に刺激を与えたり栄養を補給したりといった点ではそれなりのメリットが期待できましたが、効果の発現には不確実性が伴いました。
しかし現在では、医療機関で治療を受けることで、改善を目指すことができるようになっています。
AGAに対する治療法にはいくつかの種類がありますが、現在主流となっているのは薬物療法です。
よく使われているのはフィナステリドと呼ばれる薬剤で、この薬には原因物質であるジヒドロテストステロンの発生要因となる5αリダクターゼの活動を抑える働きがあります。
また、血管拡張作用によって毛髪への栄養補給を促すミノキシジルという薬剤もよく使われます。いずれも国の承認を受けた医薬品です。